癒し系音楽の存在価値
先ほども少し触れましたが、最近では、「癒し」を求める都会人のニーズが高まっていると言われています。その証拠に、「癒し系」という言葉が大流行し、ヒーリング効果の高い音楽関係商品が、さまざまなメーカーから数多く販売提供されているという状況があります。
それでは、何故それほどまでに、都会に住む人々は「癒し」を求めるのかについて考えてみることにしましょう。先ほども触れましたが、地方の過疎化、大都市への人口集中が進むにつれ、区画造成やビル建設、森林伐採、野生動物の乱獲などが進み、都市部の自然環境破壊がますます深刻化している状況があります。そのような状況下で、自然を目にしたり、触れたりする機会の少なくなった私たちにとっては、自然界の音を録音したCDなどが、何よりの「癒し」商品となっているのではないでしょうか。また、高度に経済成長をし続ける社会の中で、受験戦争の激化や偏差値神話、競争主義などに踊らされて、人々の心のゆとりが失われつつあるのも事実です。そして、より一層複雑化する人間関係に悩まされ、深刻な精神的ストレスを抱える都会人の数が増えてきていることも否めないでしょう。そういった「心の病気」を抱える人や、その予備軍と言われる人々にとって、自然界の音や、ヒーリング音楽などは、都会で生活するためになくてはならないなものになっていると言っても過言ではないでしょう。
音楽は、飲食料品や衣類、住居などのように、身体的な健康状態を維持するために必要不可欠なものではありません。また、音楽を聴いたからといって、空腹感が満たされたり、寒さや雨露をしのいだりすることが出来るなどといった直接的な効果が得られる訳ではありません。そのような性質があることから、「たかが音楽」と軽視したり、馬鹿にしたりする人が少なからず存在するのも事実です。しかしながら、たとえ衣食住全てが満ち足りていたとしても、精神的に不安定であったり、深刻なストレスや悩みを抱えていたとするならば、本当の意味で「健康である」とは言えません。音楽は、そのように、精神的に不健康な状態を改善するために有効であると考えられています。